釣行記   リストへ戻る

田舎のおじさん池原ダムへ行くの巻き 釣行日:2004/4/17 天候:晴れ

池原ダム。それはバサーなら誰もが一度は訪れたいビッグバスの聖域。僕もその一人であり、半年も前から釣行を計画し、フライで60オーバーを夢見てきた。そして高松を金曜の23時に出発!高速を乗り継ぎ、淡路島を抜け、神戸、大阪、さらに真っ暗な夜の国道を延々と走り抜け、4時半にはボート屋へと到着したのであった。

ボート屋の駐車場にて。すでに車はほぼ満車状態でした

到着してすぐに異様な光景を目にする。なんと駐車場は満車だった。しかも車にはすべて人が乗っていた。どれもメガバスとかジャッカルのステッカーがリアウィンドウに貼ってあり、アイドリングしている車もある。たまに車から出てくる人物が、また決まって茶髪の兄ちゃんであり、すべてトーナメンターのようなスーツを着ているのである。なかには女性の姿もみえた。彼氏と一緒にバス釣りを楽しみに来たのだろう。ド派手なスーツがまたカッコいいのである。とにかく兄ちゃんも姉ちゃんも、みんな雑誌で見たようなブラックバサーなのであった。

そしてしばらくすると、辺りがざわついてきた。車から人が一斉に出はじめたのである。どうやら受付が始まったらしい。僕も出て行こうとしたが、どうも出にくい。どうみても一人だけ浮いているのである。しかしここまで来て引っ込むわけにも行かない。フライタックルの準備をして受付にむかった。


受付の小屋にて。デカバスの写真がワンサカ

受付小屋では、みんな僕のロッドにぶら下がっている、ちんけなバスバグをじっーと見つめていた。そして、顔を合わすと彼らは目をそらすのであった。じっーと見ながらも、誰もバスバグについて聞かない。心の中でたぶん、「なんだありゃ?ルアー買えないのかこの人。可愛そうに...」そんな感じがひしひしと伝わってくるのだった。

実際、かれらのロッドに結ばれているルアーはモンスタージャックや最新のスイムベイトたちであり、それと比べたら僕のバスバグはあまりにも情けないというか、貧弱に見えた。悲しみさえ、醸し出しているのだった。

さらに受付を出る直前、その極めつけの言葉が発せられた。

「今日は何を釣りに来たのですか?」

ついにその言葉を聞いてしまった。やはりそうだったのだ。
彼らにとって、最新のルアーは当たり前なのであり、釣るために最新のルアーを使うのであり、釣りは釣るためにやるのである。

「あ、ブラックバスですハイ....。」
出かける前に70オーバー釣ってきます!などと掲示板に書き込んだ元気はすっかりなくなっていた。それどころか、僕は場違いなところに来ていることにその時、初めて気が付いたのであった。

しかし、ここまできたらビッグワンをゲットするしかない。

ボートがおろされると同時に、人間もゴンドラのような乗り物で急斜面を下りていく。いや、下りていくというよりも、落っこちていくという表現のほうが正しいかもしれない。それくらい急斜面であり、けたたましい音がするのだ。

それにしてもみんな当たり前のようにテキパキと準備し、次から次へと下りていく。彼らは皆、常連なのだろう。ロッドを5本とか10本とか束で持ち、みんなに見守られながら、次から次へと斜面を下りていく。みんな真剣にバス釣りしている人たちばかりだ。そこに、ちんちくりんなバスバグぶら下げてゴンドラには乗れない。しかも一人だし。僕はひとりで階段でボート乗り場まで下りた。



そしていよいよ出船である。予約していたボートは5馬力の船外機とフットコンエレキつきだ。薄明るい湖面を出発!しかし遅い!他のバサーはみんな9馬力以上のVハルで、湖面をすべるように出撃していく。それに比べ俺のボートはボロイ。あっという間に置いていかれるのであった。そしてその引き波がまたバッタン!バッタン!もうやられっぱなしという感じであった。そしてその傍らには例によって、ちんけなバスバグがピロピロと踊っている。こんなところまで一人できてとんだピエロだ。

ポイントはこんな所が多い。際ギリギリにバグを落とし、ちょっと待ってアクションをくれてやる。もしかしたら60オーバーが来るかもしれないのだ。


しかし実際には反応すらなかった。


こんな岩盤も丹念に丹念に際に落としては慎重にアクションさせ、ポーズも長めにとったり、自分なりに、一所懸命に集中したつもりである。

しかし何の反応すらなかった。

そして日も出てきてしまい。集中力もだんだん失せてくるのであった。

あーあーやっぱりな〜

池原ダムは本当に美しい。釣りをするにはあまりに広すぎるがまだまだこれから。

ジッピーバグを持ってきていた。注文待ちの方すいません。
本当はこれでロクマルのバスの顔を撮る予定でいたのですが....。


こんな岬の先端。バスがいてもよさそうなのですが、実際には出ません。


こんな立ち木際もやりました。奥なんか出そうでしょ。
しかし出ません。サイズを落としても出ません。保障します。


あまりに反応がないため、一気に移動して白川筋の細いワンドの奥まで移動。ここは有名なバックウォーターがある場所。ゴミが浮いていて、いかにもよさそうな感じ。しかしやってみてください。出ませんから。


そのあとはもう吹っ切れて延々と岸際を惰性で打って行った。

これだけ釣れないと、レイクバカラックのビデオを思い出した。
「いやー全然でません、ほんとにここレイク池原かよ〜」
「おじさんは悲しい〜、過酷なことはもうたくさんだ。」
「泣いてくらしたい」

午後13時ごろ。もうダメだ。眠い。意識がもうろうとしてきた。

どこか寝るところはないか。しかしこの日の池原はかなり減水しており、日陰が全くない状態でした。どこに行っても直射日光を浴びなくてはいけません。

仕方がないのでワンドの奥に上陸してとりあえず顔にタオルかけて爆睡してしまった。

気が付くと16:00を回っていた。タオルが風で飛んでいってしまい。この時期の有害な紫外線を顔面いっぱいに受けてしまっていた。真っ赤になっていた。もう最悪である。しかしまだチャンスはある。これからが勝負!っと再び釣りを始めるのであった。


とりあえず上陸地点から夕暮れの湖面を見渡す。
バスらしい魚影がどんどんワンドに入ってくるのが見えた。
よしよし、絶対釣ってやる。

しかし、よーくみると、

鯉なのであった。

「おじさんは悲しい〜!、どこへ行けばいいの」
「もう泣いて暮らしたい。」



ふと気が付くとあたりにボートの姿が見えない
ヤバイ!
もしかして戻りの時間があったのか?
そうなると心配になる。こんなところで
一人湖上で暗くなったら、心細い。
早く帰らなくては。

ところが....。
なぜかエンジンがかからない。
これ、かぶっちゃったのか。
チョークを戻し、アクセルを開き気味にして
再度スターターを引くが、全然かからない。
一応、心配してるかもしれないので、ボート屋のおっちゃんに
電話した。

なんてこった〜。なんてこった〜。

仕方がないのでエレキだけで戻る。


ようやくボート桟橋が見えてきた。
は〜もう早く上がりたい。
背中が痛い。

桟橋に着くとおっちゃんがいた。

おっちゃん「ごめんごめん、で、釣れたにゃか?」
ぼく「釣れません。」
いっぴきもかにゃ「いっぴきも釣れません。」
おっちゃん「がしゅしゅしゅ笑」

おっちゃん「で、明日はどないしゃ?」

ぼく「もうかえります」

おっちゃん「がしゅしゅしゅ笑」

ということで、ボート屋を後にした。

そもそも、普段ボートなど使わないので非常に苦しかった。フットコンとはいえ、風で流れる船尾をコントロールしながらのフライはハッキリ行ってフローターより効率悪いと思った。まあそれも慣れかもしれないけど。

とにかく、想像以上に池原は厳しかった。普段野池でゲリラ的な釣りをしている田舎モンのおじさんにとって、シーニンフは脅威であり、規則正しく正々堂々とした釣りは苦手である。ゲリラ的とは、例えば、未明に野池のインレット側溝にバグをそっと落とすような汚い手である。まさかバスもこの時間にそんなものが落ちてきてニセモノとは思わない。そういう釣り方をゲリラ的という。

トップウォーターの釣りをする人にとって、ルアーではどうにもならないならば、それ以外の要素でバスを欺くしかないはずだろう。ルアー以外の要素とは、ルアーで魚を欺けないぶん、時間帯など、それ以外の要素で魚を欺くという意味です。

明るくなってからみんなで出船し、みんなで戻る。真昼間でもデカバグオンリー。それではやはり厳しい。

昔の池原はゲリラ釣りができた。備後筋の最奥で勝手にフローター出せた。しかも夕暮れの直前に。そして魚もいっぱい釣れた。何投げてもトップに出た。そういう時期がほんとにあった。

しかしそういう勝手なことをしていたから、いろいろな事故が起こり、管理されるようになったのだろう。だから仕方がないのか....。

ということで、1日目の池原釣行はナナマル、ロクマルはおろか、一匹たりともバスの姿を見ることもできなかった。


じつはそのあと、「もう帰ります」というのはウソであり、
ゲリラ釣りをやる場所を探していた。しかし薄暗くなり、時間もなく
結局断念するしかなかった。


焦った。どこか岸から下りれるところを探したのだが....タイムアウト

で、釣りはあきらめ、夕食はこのラーメン屋ですませた。

ラーメン屋には、バス野郎らしき連中がいた。
一人でラーメンを食いながら耳をダンボにする

バス野郎A「白川は濁っててだめやったわ」
バス野郎B「備後はマシやったで」
・・・・・何の参考にもならない。

その後、

スポーツ公園の温泉に入り、車中泊。
1日目は無残な結果のまま終了したのであった。



2日目


翌日は、七色ダムへ向かった。
じつは以前にフローターを降ろして爆釣した場所があり、
そこならフローターができるのではないかと期待したのであった。

しかし到着してみると、僕がフローターを降ろした場所も
見事にボート屋となっているのだった。

もちろんフローターなんて禁止だろう。

おっちゃんに聞いてみた

「あのー、フローターは...」
おっちゃん「ダメダメ!禁止禁止」

やはりそうか

ボートは借りれますか?

おっちゃん「パンドーは出払ってないよ、手漕ぎならあるけど」
「エレキはつけれるよ」

ぼく 「それでお願いします。」



ここまで来て、バスの顔を見ずには帰れない。
いっぴきくらいは、やれば釣れるだろう。

ということで手漕ぎで釣り開始

それにしても手漕ぎは他にいない。手漕ぎ。
なんてバカなんだろう。

湖上では歩行者のような扱いである。

しかし、意外にみんなやさしい。
手漕ぎは弱者なのだ。

たまーにVハルが来ると、わざと悲壮な顔をして
ボートを一所懸命漕ぐのである。

すると彼らは減速する。
そう、弱者なのだ。

ちなみに、こんなバスボートも来ていた。

いきなり現れて、湖上に着陸するように停止し、
そのあとモーターの音が「ウィィィーン ガッシャン」
ルルルルルとエレキで徘徊し始める。
そして、僕の後を追うようにエレキで流していたが、
バスボートの兄ちゃんも釣れた気配はない。

結局ボートはいたるところに居たが、釣れてるところを見なかった。

全く釣れない。

最後はこんな上流まで来てしまった。水はきれいだが、
見渡す限りなにもいない。


ちなみにローマのお風呂みたいな景色もあった。

釣りよりも、ほとんど湖ウォッチングと化していた。
やたら投げても釣れなさそうなのである。
投げるよりも岸際をバスが居ないか見ているほうが楽しい。

ふとバッテリーを見ると


シマッタ!残量がない。手漕ぎはもう嫌だ!帰ろう。

時刻は13:00

夏日のような暑さのなか、バッテリーを気にしながら
桟橋に戻った。結局、いっぴきも釣れなかった。

桟橋に付くと、もうおっちゃんはいなかった。
受付もシャッターが閉まっていて誰もいない。

ボートから上がり、ひとり休憩場所でお茶を飲んだ。

ここは涼しかった。気持ちのいい風がさらさらと流れていた。

2日間全く釣れなかった。

でも

清清しい気持ちがした。

また来てみよう。

池原七色単独釣行

おわり。

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